実験に参加してきました
以前記事にした「色覚異常者の社会参画のための研究」の一環として筑波を中心に行われている実験に関西支部で参加してきました。
もともと新聞に掲載された記事で参加希望者を募ったところ、
予想外に多くの希望が寄せられたことから急遽関西でも行うようになったということなのですが、
私のところには9月~来年2月までの間で2日間程度参加してもらえないか、という旨がメールで送られてきました。
これを見たときの正直な感想。
「期間自由すぎない?」
どれを選んでもいいけど1個だけ、と言われるとむしろ選べなくなってしまうあの心境。
私自身はいつでもいいけれど、当日の体調にも左右されてしまうので、あまり長期を見据えた計画は立てづらい。
そこで10月~11月あたりでなんとか適当な日を提示してもらい、さらにその中から絞り込んで、結局1泊2日の実験と相成りました。
最近では学校で色覚に関する検査を健康診断でしないそうで、
運転免許を取るくらいになってから初めて自身が色覚異常であることを知るのがほぼ総数とのことでした。
理由は単純、差別やいじめにつながるからです。
そう考えると小学校入学時の検査でクラスメイトの前で検査・判明していたにもかかわらず、差別もいじめもなかった私は運が良かったのでしょうか。
というよりも、それでもいい環境、周囲の心の余裕と豊かさがあったような気がするのですが。
確かに、色の識別が難しかったり、できなかったりすることは事実です。
しかし遺伝による生まれつきなので、本人は不便を感じることがありません。
健常者が突然、色覚異常・色盲になったらそれは不便であろうことは想像に難くありません。
ちなみに私の場合、信号が見にくかったり、山が季節を問わず紅葉している程度のレベルです。
最近はあちこちにLEDの信号が増えてありがたい限りです。
実験の内容はというと、黒い台紙に貼り付けられたカードの色が、予め用意された16色のサンプルのうち、
どれかに「同じ」「似ている」「同じでもないし似てもいない」を判断し、
さらに赤・青・黄・緑・紫といった12色のどれに「近い」かを無理矢理にでも、こじつけても答える、というものでした。
ピンクやオレンジといったものもありましたが、「黄緑」といった明らかな中間色がないので、こじつけざるを得ないのです。
それが200枚次々と出てきます。
無論、200枚全てが違う色なのか、同じ色が混じっているのかなどは秘密です。
どう見てもさっき出てきた色じゃないかなコレ
と思いつつも、それを質問するのは実験の趣旨に反しますのでできません。
健常者が見たら違った色に見えているのかもしれませんが、私には同じに見えているだけなのかもしれませんし。
正直に言えば、途中何か他のことを考えたり意識をポジティヴに保つようにしないとイライラが爆発しそうな代物でした。
鬱状態に入っていたらかなり危険だったでしょう。
そのあとは、12個ほどの色が並べられたケースの中身をグラデーション順に並べ替えるというものです。
このグラデーションという「僅かな色の違い」を見比べ見極めることが、色覚異常者の最も苦手とする分野です。
これを2回。
1回目と2回目は確実に並び順が変わっていることを自分でも認識しています。
そして色覚検査によく使われる、円のなかに色のついた円で数字や図形が描かれており、
それを筆でなぞりつつ口頭で答えるというものもやりました。
ここまでが初日。約3時間のスケジュールです。
翌日はもう1回、例の200枚です。
しかも前日は500ルクスの明るさだったのに対し、0.5ルクスにまで明度を落とした状態で色を判断しなくてはなりません。
ちなみに500ルクスは20ワット型蛍光灯の直下50センチほどの明るさで、一般的なオフィスなどでは750ルクス程度が基本だそうです。
では0.5ルクスはというと、私が感じたのは映画館でライトが消されていって最後のひとつが残った、くらいの印象でした。
一応「がんばれば文字も読める」程度の明るさだそうで、映画館のライトが消えた状態でパンフレットを見るようなものでしょうか。
参考までに挙げておくと、街灯のない満月の夜道が0.2ルクス程度だそうです。それよりはマシということですね。
しかし必要な集中力は明度が落ちた分桁違いに。
色の判別も難しくなり、特に黒に近い濃い色は脳内で「この色じゃないのか?」と疑念が浮かんだ瞬間その色に見えてきてしまうような状態。
それでも答は出さなくてはならないので、できるだけ考えないように、直感で得たものをそのまま答えるように心がけました。
最後に顕微鏡のようなものを覗きこみ、円の上半分が緑系、下半分が赤系にダイヤルで色が変化する装置で、
上下の色がどこで同じに見えるか、あるいは見えないかを判別する実験を行いました。
2日目も結局3時間。10時に始めたはずが、気付けば終わったのは13時でした。
200枚の色判別がどれだけ時間を要するものだったかということです。
「実験中ほとんど休憩もなく淡々と集中していた」と担当の方から言われましたが、
それくらいがんばらないと集中力が持続しきれなかった、というほうが正しいでしょう。
実際用意された水も口にしませんでしたし、トイレも行きたくなりませんでした。
それにつきあっていただいた担当の方のほうが大変だったかもしれません。
それにしても貴重な体験をさせていただきました。
そしてこれが見知らぬ誰かの役に立つのであれば、こんな嬉しいことはなかなかありません。
もともと新聞に掲載された記事で参加希望者を募ったところ、
予想外に多くの希望が寄せられたことから急遽関西でも行うようになったということなのですが、
私のところには9月~来年2月までの間で2日間程度参加してもらえないか、という旨がメールで送られてきました。
これを見たときの正直な感想。
「期間自由すぎない?」
どれを選んでもいいけど1個だけ、と言われるとむしろ選べなくなってしまうあの心境。
私自身はいつでもいいけれど、当日の体調にも左右されてしまうので、あまり長期を見据えた計画は立てづらい。
そこで10月~11月あたりでなんとか適当な日を提示してもらい、さらにその中から絞り込んで、結局1泊2日の実験と相成りました。
最近では学校で色覚に関する検査を健康診断でしないそうで、
運転免許を取るくらいになってから初めて自身が色覚異常であることを知るのがほぼ総数とのことでした。
理由は単純、差別やいじめにつながるからです。
そう考えると小学校入学時の検査でクラスメイトの前で検査・判明していたにもかかわらず、差別もいじめもなかった私は運が良かったのでしょうか。
というよりも、それでもいい環境、周囲の心の余裕と豊かさがあったような気がするのですが。
確かに、色の識別が難しかったり、できなかったりすることは事実です。
しかし遺伝による生まれつきなので、本人は不便を感じることがありません。
健常者が突然、色覚異常・色盲になったらそれは不便であろうことは想像に難くありません。
ちなみに私の場合、信号が見にくかったり、山が季節を問わず紅葉している程度のレベルです。
最近はあちこちにLEDの信号が増えてありがたい限りです。
実験の内容はというと、黒い台紙に貼り付けられたカードの色が、予め用意された16色のサンプルのうち、
どれかに「同じ」「似ている」「同じでもないし似てもいない」を判断し、
さらに赤・青・黄・緑・紫といった12色のどれに「近い」かを無理矢理にでも、こじつけても答える、というものでした。
ピンクやオレンジといったものもありましたが、「黄緑」といった明らかな中間色がないので、こじつけざるを得ないのです。
それが200枚次々と出てきます。
無論、200枚全てが違う色なのか、同じ色が混じっているのかなどは秘密です。
どう見てもさっき出てきた色じゃないかなコレ
と思いつつも、それを質問するのは実験の趣旨に反しますのでできません。
健常者が見たら違った色に見えているのかもしれませんが、私には同じに見えているだけなのかもしれませんし。
正直に言えば、途中何か他のことを考えたり意識をポジティヴに保つようにしないとイライラが爆発しそうな代物でした。
鬱状態に入っていたらかなり危険だったでしょう。
そのあとは、12個ほどの色が並べられたケースの中身をグラデーション順に並べ替えるというものです。
このグラデーションという「僅かな色の違い」を見比べ見極めることが、色覚異常者の最も苦手とする分野です。
これを2回。
1回目と2回目は確実に並び順が変わっていることを自分でも認識しています。
そして色覚検査によく使われる、円のなかに色のついた円で数字や図形が描かれており、
それを筆でなぞりつつ口頭で答えるというものもやりました。
ここまでが初日。約3時間のスケジュールです。
翌日はもう1回、例の200枚です。
しかも前日は500ルクスの明るさだったのに対し、0.5ルクスにまで明度を落とした状態で色を判断しなくてはなりません。
ちなみに500ルクスは20ワット型蛍光灯の直下50センチほどの明るさで、一般的なオフィスなどでは750ルクス程度が基本だそうです。
では0.5ルクスはというと、私が感じたのは映画館でライトが消されていって最後のひとつが残った、くらいの印象でした。
一応「がんばれば文字も読める」程度の明るさだそうで、映画館のライトが消えた状態でパンフレットを見るようなものでしょうか。
参考までに挙げておくと、街灯のない満月の夜道が0.2ルクス程度だそうです。それよりはマシということですね。
しかし必要な集中力は明度が落ちた分桁違いに。
色の判別も難しくなり、特に黒に近い濃い色は脳内で「この色じゃないのか?」と疑念が浮かんだ瞬間その色に見えてきてしまうような状態。
それでも答は出さなくてはならないので、できるだけ考えないように、直感で得たものをそのまま答えるように心がけました。
最後に顕微鏡のようなものを覗きこみ、円の上半分が緑系、下半分が赤系にダイヤルで色が変化する装置で、
上下の色がどこで同じに見えるか、あるいは見えないかを判別する実験を行いました。
2日目も結局3時間。10時に始めたはずが、気付けば終わったのは13時でした。
200枚の色判別がどれだけ時間を要するものだったかということです。
「実験中ほとんど休憩もなく淡々と集中していた」と担当の方から言われましたが、
それくらいがんばらないと集中力が持続しきれなかった、というほうが正しいでしょう。
実際用意された水も口にしませんでしたし、トイレも行きたくなりませんでした。
それにつきあっていただいた担当の方のほうが大変だったかもしれません。
それにしても貴重な体験をさせていただきました。
そしてこれが見知らぬ誰かの役に立つのであれば、こんな嬉しいことはなかなかありません。