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マッキー

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「戦争を知らない」ことの意味

2016-08-14

過日、新聞の投書欄に稲田大臣の靖国参拝について60代の方が書かれた文章が掲載されていた。
現在の60代はいわゆる「戦争を知らない」世代になる。
この場合の「知らない」とは「体験していない」という意味だ。
「戦後70年」などと言われるように、実際に「戦争を体験」された方は70歳代、しかも記憶があるとなればその後半になるだろう。
この60代の方の意見は一般的なWGIPに毒された方の意見(残念ながら多くの日本人の標準でもある)で、
靖国神社には中韓を刺激しないために閣僚が参拝すべきでないこと、
A級戦犯とされ刑死させられた方々が戦没者扱いで祀られていることなどを挙げていた。

当ブログではすでに何度か扱ってきたことだが、現在日本に「戦犯」は存在しない。
俗に言う「A級戦犯」を含む「戦犯」の釈放を求める運動は敗戦後早くから全国に広まり、当時で約4000万人もの署名を集めている。
1953(昭和28)年には衆議院で受刑者の赦免に関する決議が行われ、
関係各国の同意を得たうえで順次仮釈放の形で出所が許されている。
さらに1958年4月、連合国通達により正式に刑が赦免され、
刑死させられた7名、獄死した7名を含む全戦犯が名誉を回復。この時点で「戦犯」は存在しなくなったのである。
敗戦から6年後の1951(昭和26)年9月8日、サンフランシスコ講和条約が吉田茂首相によって調印、
翌年4月28日に日本は連合国の占領から解放、いち国家としての主権を回復している。
それから6年を経るが、日本と連合国は「戦犯」とされた方々を正式に赦免しているのだ。
これは自ら学ばなければ決して知ることのできない内容である。
WGIPによって学校教育では教えないことになっているからだ。
だが、連合国側が認めたうえで「戦犯」が赦免されたということを知っているだけで随分見方は変わるはずである。

前ひと段落だけとっても「戦争を知らない」ということのもう1つの意味がお解りいただけるだろう。
「無知」である。
学校教育で学べることだけが、自分の知っていることだけが、この世の全てであることのように錯覚しがちである。
だから自分と異なる意見や主義主張を持つ人を受け入れない人がいる。
「人の集まる場所では政治・宗教・野球の話はするな」というが、正に前述のような人がいるがゆえである。

今から2500年前の中国に現れた兵法家の著書「孫子」は現代でも通用する普遍的
かつ応用のきく抽象的な内容であるゆえに、競争社会を生き抜くための書物として人気がある。
その中には「戦争は国家の一大事だからよくよく考えて行うべき」
「やるなら短期間で終結させる。長引いて結果が良かった戦争など聞いたことがない」
「動員しなくてはならない兵士、武器、食糧、金銭などの出費を考えると、戦争は割に合わない」
とまで書いてある。兵法書なのにだ。
日本でも戦国時代頃はよく研究され、武田信玄の旗印で有名な「風林火山」も出典はこの「孫子」である。
そう考えると大東亜戦争は何故、長引いた上に合理的な戦略戦術をとれず、
「孫子」が否定までしている精神論がはばをきかせたのかと思える。
こんな言葉もある。
「将、外にあれば君命にも従わざることあり」
軍を任せて送り出した将に対して、後方にいる君主があれこれ命令するな、と言うのである。
要するに「現場のことは現場にいる人間が最もよく知っているのだから、その判断に任せるべき」と言っているのだ。
それを言われると満州事変から大東亜戦争、果ては東日本大震災の原発対応に至るまで、
後方からの口出しがどれだけ現場を苦しめたかがよく解る。
日清日露の各戦争では短期決戦、現場主義と「孫子」の基本に則った戦争が行われたのに比すれば一目瞭然だ。
作家の司馬遼太郎氏をして「明治、大正は良かった。昭和だけが魔法にかかったように駄目だった」と言わしめたのは、
氏自身の戦争体験もさることながら、昭和の戦争を指導した者たちの「戦争への無知」も一役買っていたのだろうと考えざるを得ない。

「治にして乱を忘れず、乱にありて治を思う」という。
私たちは今、戦争(乱)のことを学ぶ余裕のある平和(治)の中にある。
ならば今すべきなのは「無知であることを知る」「知らないものを学ぶ」ことではないのだろうか。
「戦争を知らない」というのは「体験していない」という意味では大変素晴らしいものである。
だが「無知である」という意味であってはならないものだ。

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